収用に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例

 

確定申告相談会場

かわうそ

 今日は空が高いな

 

相談者

 いっけなーい、収用収用!
 もう、事業主ったら収益補償と移転補償してくれないなんて。あ、自己紹介が遅れました。わたしはハナ。今日から花の後期高齢者、75歳。今日から代替取得不動産で居住開始なの!
 って、あうっ! 痛た……もう、角は注意しなさいよね! 
 はあ? BBAですって、なによこのハゲ!
 あ、いけない、確定申告相談会場に遅刻しちゃう!せっかくLINE予約したのに!天国のママ、後期高齢者は波乱の予感です。

 

かわうそ

 空気が清らかだな

 

相談者

 こんにちは!準備コーナーのひと!自己の居住用建物とその敷地、自宅の隣でやっていたコインランドリーの建物とその敷地が都市計画事業で買取の申出を受けちゃった!しばらく迷ったけど対価補償金をたくさん提示されたから譲渡に同意したよ!

 

かわうそ

 あ、アオスジアゲハだ。なんでこんなとろに。

 

相談者

 買取の申出から6ヶ月以内に同意したし、あたしがその買取の申出を受けた最初の人だし、措法33条の要件は満たしてると思うの!ここでちょっと困っているのが代替資産が特例適用の要件を満たしてるかなんだな。

 

かわうそ

 5000万円控除にしろし。

 

相談者

 ばっかだなー笑!対価補償で受け取った金額が1.9億円だし、古い物件だから取得費なんて概算取得費5%だし税金なんて払えるわけないじゃない!だから代替特例一択なわけ!

 譲渡資産の対価補償額はそれぞれ次の通りだからよく覚えてね!

 ・自宅建物 3,000万円

 ・自宅土地 5,000万円

 ・コインランドリー建物 1,000万円

 ・コインランドリー土地 1億円

 で、収用の補償金で自分が住むための家屋とその敷地を買ったの!あと、屋形船のレンタル事業をしようと思って船舶を買ったわ!取得価額はそれぞれ次のとおりとする!

 ・自宅建物 3,300万円

 ・自宅土地 3,700万円

 ・事業用船舶 1億円

 この場合、どうやって代替譲渡資産と代替取得資産を対応させるのが有利かな?!

 代替資産をベースにして検討してみると、まず、賃貸用船舶については同種法(個別法)と一組法の検討の余地なしだから事業継続法を適用してコインランドリーの土地建物からの買い替えとするしかないよね!とすると譲渡収入金額はコイラン補償額1.1億円-屋形船取得価額1億円=1,000万円で決まり!取得原価は概算取得費1,500万円×5%=75万円でいいや。所得は925万円ね!おけ!

 次に新居用土地建物と新しい土地については、うーん、どうしようかな。。

 一組法で考えるなら旧土地建物が居住用という同じ効用を有する新土地建物に代替されたと考えるわけよねー。

 同種法で考えると旧土地が二つの新土地で代替されて、旧住居が新住居に代替されたと考えるわけよね!ちょっと計算してみるね!

一組法の場合

譲渡収入金額

補償額(5,000万円+3,000万円)-代替資産取得価額(3,700万円+3,300万円)=1,000万円

必要経費

譲渡資産の取得原価のうち譲渡収入として実現した部分のみを取得原価として必要経費に算入する。

補償額(5,000万円+3,000万円)×5%

 ×譲渡収入金額1,000万円/補償額(5,000万円+3,000万円)

  =50万円

所得額

譲渡収入金額1,000万円-必要経費50万円=950万円

 

同種法の場合

譲渡収入金額

土地部分

5,000万円ー3,700万円=1,300万円

建物部分

3,000万円ー3,300万円=0円

 

必要経費

土地部分

5,000万円×5%×1,300万円/5,000万円=65万円

建物部分

3,000万円×5%×0/3,000万円=0円

 

所得額

土地部分

1,300万円ー65万円=1,235万円

建物部分

0円

 

所得額は一組法を使った場合の方が285万円も少なくなるから一組法を適用した方が有利よね!

 

かわうそ

 課税機会を繰延べてるだけずら。

 

相談者

わかってるわよ!うるさいなあ!代替資産の取得原価は下がっちゃうから次に譲渡したときにたくさん税金を納めることになるかもだけど、わたし今を生きたいの!うん!わたしこれでやってみる!

 

かわうそ

 次の方どうそー