非上場株式を現物出資した場合の課税関係

確定申告相談会場

かわうそ

 雪のせいで超空いてる。暇だ。

 

相談者

 こんにちはー!暇そうですね!相談してもいいですか?

 

かわうそ

 やってません。

 

相談者

 いやいやいや、その派手なジャンパー着てるんだからどうみても相談担当の職員さんでしょ!

 

かわうそ

 うるせえよ。

 

相談者

 ぼく、こう見えて会社を経営してるんですよー。不動産クラウドファンディングの会社(以下F社)。まあ、職員さんに言っても理解してもらえないだろうけど、なんかイケてるビジネスです。

 ところで昨年、不動産の会社を株式を現物出資して資産管理会社(以下S社)を設立したんです。この場合、ぼくにどんな課税関係が発生するのかなーって思って、暇だから相談会場に来てみました。

 

かわうそ

 税理士に相談してください。

 

相談者

 まあ、そう言わないで。どうせ暇じゃないですか。以下事実関係です。

 

・私はF社の株式を100%保有していた。

・私は保有するF社株式のすべてを現物出資してS社を設立した。

・私は現在S社株式を100%保有している。

・私はF社を設立するにあたって現金2千万円を出資した。

 

かわうそ

 あなたには譲渡所得が発生しますね。株式は譲渡所得の基因となる資産に含まれます。また現物出資は譲渡に該当します。

 

 

相談者

 なるほど。では譲渡収入はどのように測定すればよいですか?

 

かわうそ

 対価として受け入れたS社株式の評価額をもって譲渡収入とするのが原則でしょうね。

 しかし、S社株式の評価額と譲渡資産であるF社の評価額を比較してS社株式の評価額がF社株式の評価額の2分の1に満たない場合はF社株式の時価で譲渡したものとみなされます(所法59①二、所令169)。

 

相談者

 F社株式はどのように評価する感じですか?

 

かわうそ

 所基通59-6により評価します。評価方式を決定するためには、あなたが同族株主等に該当するか否かを判定する必要があります。あなたはF社株式の売主なので取引前の状態で判定します。あなたはF社株式を100%保有していたので、あなたは同族株主等に該当し、配当還元方式により評価することはできません。

 

相談者

 S社株主ついてはどう評価しますか?

 

かわうそ

 定めはありませんが、実務上は評価通達に基づいて評価します。評価方式を決定するためには、あなたが同族株主等に該当するか否かを判定する必要があります。あなたはS社株式の買主なので評価通達により、取引後の状態で判定します。あなたはS社株式を100%保有するので、あなたは同族株主等に該当し、配当還元方式により評価することはできません。

 

相談者

 原則的評価を行う場合の資産負債についてはどの時点を採用しますか?

 

かわうそ

 評価通達185では「課税時期における」資産および負債に基づき純資産額を求めることとされています。今回の場合の「課税時期」とは現物出資が行われた時点です。

 したがって、当該取引後のS社の貸借対照表、すなわち資産にF社株式が計上され純資産に払込資本金が計上されている状態の貸借対照表に基づきS社の純資産額を評価するのが相当と考えます。

 

相談者

 そうすると純資産額ベースのS社株式の評価額は、F社株式の評価額と同等になるはずですね。S社はどのような価額でF社株式を受け入れるんでしょうか?

 

かわうそ

 法基通9-1-14により評価します。所基通59-6と異なり、同通達に同族株主等の判定時期についての記述はありません。しかし熊本地裁H28.9.21では、株式取得後の買主の議決権に基づき判断するのが相当である旨判示されています。したがって、S社は取引後F社株式を100%保有するので、S社は同族株主等に該当し、配当還元方式により評価することはできません。

 

相談者

 そうすると、S社の純資産額はF社株式を原則評価した価額と同等になりますね。そうすると私の譲渡資産であるF社株式の評価額と対価であるS社株式の評価額は同等になることから、みなし譲渡にはならないということですね。

 

かわうそ

 そうですね。

 

相談者

 譲渡所得はS社株式評価額(=F社原則評価額)を譲渡収入として、そこからF社設立時の払込出資金2千万円を取得費として控除することで算出されますね。

 

かわうそ

 I couldn't agree more.

 

相談者

 ありがとうございました。暇な職員さんがいて助かりました。

 

かわうそ

 さようなら。

 

 

 

収用に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例

 

確定申告相談会場

かわうそ

 今日は空が高いな

 

相談者

 いっけなーい、収用収用!
 もう、事業主ったら収益補償と移転補償してくれないなんて。あ、自己紹介が遅れました。わたしはハナ。今日から花の後期高齢者、75歳。今日から代替取得不動産で居住開始なの!
 って、あうっ! 痛た……もう、角は注意しなさいよね! 
 はあ? BBAですって、なによこのハゲ!
 あ、いけない、確定申告相談会場に遅刻しちゃう!せっかくLINE予約したのに!天国のママ、後期高齢者は波乱の予感です。

 

かわうそ

 空気が清らかだな

 

相談者

 こんにちは!準備コーナーのひと!自己の居住用建物とその敷地、自宅の隣でやっていたコインランドリーの建物とその敷地が都市計画事業で買取の申出を受けちゃった!しばらく迷ったけど対価補償金をたくさん提示されたから譲渡に同意したよ!

 

かわうそ

 あ、アオスジアゲハだ。なんでこんなとろに。

 

相談者

 買取の申出から6ヶ月以内に同意したし、あたしがその買取の申出を受けた最初の人だし、措法33条の要件は満たしてると思うの!ここでちょっと困っているのが代替資産が特例適用の要件を満たしてるかなんだな。

 

かわうそ

 5000万円控除にしろし。

 

相談者

 ばっかだなー笑!対価補償で受け取った金額が1.9億円だし、古い物件だから取得費なんて概算取得費5%だし税金なんて払えるわけないじゃない!だから代替特例一択なわけ!

 譲渡資産の対価補償額はそれぞれ次の通りだからよく覚えてね!

 ・自宅建物 3,000万円

 ・自宅土地 5,000万円

 ・コインランドリー建物 1,000万円

 ・コインランドリー土地 1億円

 で、収用の補償金で自分が住むための家屋とその敷地を買ったの!あと、屋形船のレンタル事業をしようと思って船舶を買ったわ!取得価額はそれぞれ次のとおりとする!

 ・自宅建物 3,300万円

 ・自宅土地 3,700万円

 ・事業用船舶 1億円

 この場合、どうやって代替譲渡資産と代替取得資産を対応させるのが有利かな?!

 代替資産をベースにして検討してみると、まず、賃貸用船舶については同種法(個別法)と一組法の検討の余地なしだから事業継続法を適用してコインランドリーの土地建物からの買い替えとするしかないよね!とすると譲渡収入金額はコイラン補償額1.1億円-屋形船取得価額1億円=1,000万円で決まり!取得原価は概算取得費1,500万円×5%=75万円でいいや。所得は925万円ね!おけ!

 次に新居用土地建物と新しい土地については、うーん、どうしようかな。。

 一組法で考えるなら旧土地建物が居住用という同じ効用を有する新土地建物に代替されたと考えるわけよねー。

 同種法で考えると旧土地が二つの新土地で代替されて、旧住居が新住居に代替されたと考えるわけよね!ちょっと計算してみるね!

一組法の場合

譲渡収入金額

補償額(5,000万円+3,000万円)-代替資産取得価額(3,700万円+3,300万円)=1,000万円

必要経費

譲渡資産の取得原価のうち譲渡収入として実現した部分のみを取得原価として必要経費に算入する。

補償額(5,000万円+3,000万円)×5%

 ×譲渡収入金額1,000万円/補償額(5,000万円+3,000万円)

  =50万円

所得額

譲渡収入金額1,000万円-必要経費50万円=950万円

 

同種法の場合

譲渡収入金額

土地部分

5,000万円ー3,700万円=1,300万円

建物部分

3,000万円ー3,300万円=0円

 

必要経費

土地部分

5,000万円×5%×1,300万円/5,000万円=65万円

建物部分

3,000万円×5%×0/3,000万円=0円

 

所得額

土地部分

1,300万円ー65万円=1,235万円

建物部分

0円

 

所得額は一組法を使った場合の方が285万円も少なくなるから一組法を適用した方が有利よね!

 

かわうそ

 課税機会を繰延べてるだけずら。

 

相談者

わかってるわよ!うるさいなあ!代替資産の取得原価は下がっちゃうから次に譲渡したときにたくさん税金を納めることになるかもだけど、わたし今を生きたいの!うん!わたしこれでやってみる!

 

かわうそ

 次の方どうそー

 

賃貸に供していた期間のある居住用不動産の譲渡

確定申告相談会場

かわうそ

 くそだるい

 

相談者

 おはようごさいます。相談があってきました。今日は激混みですね。開場前から10段つづら折りで並んでるの見てドン引きでした。

 ところで、去年自分が住んでいた土地建物を売却したんですが、その譲渡所得の計算で分からないことがあってきました。20年前に土地を2,000万円で購入し、その上に木造建物を2,500万円で建てました。建築後10年間は他人に賃貸していたんですが、面倒だったので不動産所得の申告はしていません。11年目から私が家族と一緒にくらしていましたが、去年売りました。

 取得費はどのように計算すればよろしいですか?

 

かわうそ

 いくらで売ったの。

 

相談者

 5,000万円です。

 

かわうそ

 取得費は250万円でいいよ。

 

相談者

 なんで措法第31条の4長期譲渡所得の概算取得費控除を使わせようとするんですか。買った金額分かるっていってますよね。

 

かわうそ

 先輩、腹が痛いのでしばらく便所行きます代わって。

 

先輩職員

 まず、他人に貸していた期間は木造建物の法定耐用年数に基づいた償却率を適用した減価償却費の累計額を建物の建築時に払った金額から引きます。これは実際に不動産所得計算上必要経費に計上したか、あるいはそもそも不動産所得を申告しているか否かを問いません。

 次に、自分で居住用として利用している期間については木造建物の法定耐用年数の1.5倍の耐用年数に基づいた償却率を適用した減価償却費の累計額を建物の建築時に払った金額から引きます。

 非業務用資産の減価償却費の計算にあたっては、旧定額法に準じて計算します。また、譲渡建物は所令第六条第一号の減価償却資産に該当するので所令85条及び所令184条①一により、減価償却費の限度額は取得価額の95%となります。なお、非業務用資産については所令184②の適用はありません。したがって、耐用年数が経過済みの建物でも取得価額の5%が取得費になります。

 

相談者

 追加で質問していいですか?去年売却した自宅の代わりに今年中古で戸建てを購入したんですが、建物部分の減価償却はどうすればいいですか?適用される耐用年数は資産の種類に応じた法定耐用年数から新築から購入時点までの経過年数を引いたりするんですか?

 

先輩職員

 非業務用資産の減価償却については耐令3条の適用はありませんので、中古で購入した資産でもその資産の種類に応じた耐用年数を1.5倍した耐用年数が適用されます。

 

関係法令通達

(長期譲渡所得の概算取得費控除)
措法第三十一条の四 個人が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた土地等又は建物等を譲渡した場合における長期譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、所得税法第三十八条及び第六十一条の規定にかかわらず、当該収入金額の百分の五に相当する金額とする。ただし、当該金額がそれぞれ次の各号に掲げる金額に満たないことが証明された場合には、当該各号に掲げる金額とする。
 その土地等の取得に要した金額と改良費の額との合計額
 その建物等の取得に要した金額と設備費及び改良費の額との合計額につき所得税法第三十八条第二項の規定を適用した場合に同項の規定により取得費とされる金額
(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)
所法第三十八条 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。
 譲渡所得の基因となる資産が家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産である場合には、前項に規定する資産の取得費は、同項に規定する合計額に相当する金額から、その取得の日から譲渡の日までの期間のうち次の各号に掲げる期間の区分に応じ当該各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。
 その資産が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供されていた期間 第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該期間内の日の属する各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるその資産の償却費の額の累積額
 前号に掲げる期間以外の期間 第四十九条第一項の規定に準じて政令で定めるところにより計算したその資産の当該期間に係る減価の額
 
減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)
第四十九条 居住者のその年十二月三十一日において有する減価償却資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。
2 前項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。
 
(非事業用資産の減価の額の計算)
所令第八十五条 法第三十八条第二項(譲渡所得の基因となる資産の減価の額)に規定する資産の同項第二号に掲げる期間に係る減価の額は、当該資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額につき、当該資産と同種の減価償却資産に係る第百二十九条(減価償却資産の耐用年数等)に規定する耐用年数に一・五を乗じて計算した年数により第百二十条第一項第一号イ(1)(減価償却資産の償却の方法)に規定する旧定額法に準じて計算した金額に、当該資産の当該期間に係る年数を乗じて計算した金額とする。この場合において、当該資産と同種の減価償却資産が第百三十四条第一項第一号イ又はハ減価償却資産の償却累積額による償却費の特例)に掲げる減価償却資産に該当する場合には、当該計算した金額は、当該同種の減価償却資産の同号イ又はハに掲げる区分に応じ当該イ又はハに定める金額を限度とする
 前項の場合において、次の各号に掲げる年数に一年未満の端数があるときの処理については、当該各号に定めるところによる。
 前項に規定する一・五を乗じて計算した年数 一年未満の端数は、切り捨てる。
 前項に規定する期間に係る年数 六月以上の端数は一年とし、六月に満たない端数は切り捨てる。
 
減価償却資産の取得価額)
所令第百二十六条 減価償却資産の第百二十条から第百二十二条まで(減価償却資産の償却の方法)に規定する取得価額は、別段の定めがあるものを除き、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。一 購入した減価償却資産 次に掲げる金額の合計額
イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(関税法第二条第一項第四号の二(定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
ロ 当該資産を業務の用に供するために直接要した費用の額
二 自己の建設、製作又は製造(以下この条において「建設等」という。)に係る減価償却資産 次に掲げる金額の合計額
イ 当該資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額
ロ 当該資産を業務の用に供するために直接要した費用の額
三 自己が成育させた第六条第九号イ(生物)に掲げる生物(以下この号において「牛馬等」という。) 次に掲げる金額の合計額
イ 成育させるために取得した牛馬等に係る第一号イ若しくは第五号イに掲げる金額又は種付費及び出産費の額並びに当該取得した牛馬等の成育のために要した飼料費、労務費及び経費の額
ロ 成育させた牛馬等を業務の用に供するために直接要した費用の額
四 自己が成熟させた第六条第九号ロ及びハに掲げる生物(以下この号において「果樹等」という。) 次に掲げる金額の合計額
イ 成熟させるために取得した果樹等に係る第一号イ若しくは次号イに掲げる金額又は種苗費の額並びに当該取得した果樹等の成熟のために要した肥料費、労務費及び経費の額
ロ 成熟させた果樹等を業務の用に供するために直接要した費用の額
五 前各号に規定する方法以外の方法により取得した減価償却資産 次に掲げる金額の合計額
イ その取得の時における当該資産の取得のために通常要する価額
ロ 当該資産を業務の用に供するために直接要した費用の額
2 法第六十条第一項各号(贈与等により取得した資産の取得費等)に掲げる事由により取得した減価償却資産(法第四十条第一項第一号(たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入)の規定の適用があつたものを除く。)の前項に規定する取得価額は、当該減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした場合における当該減価償却資産のこの条及び次条第二項の規定による取得価額に相当する金額とする。
減価償却資産の償却累積額による償却費の特例)
所令第百三十四条 居住者の有する次の各号に掲げる減価償却資産の償却費としてその者のその年の前年分以前の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入された金額の累積額と当該減価償却資産につき当該各号に規定する償却の方法により計算したその年分の償却費の額に相当する金額との合計額が当該各号に掲げる減価償却資産の区分に応じ当該各号に定める金額を超える場合には、当該減価償却資産については、第百三十一条から前条までの規定にかかわらず、当該償却費の額に相当する金額からその超える部分の金額を控除した金額をもつてその年分の償却費の額とする。
 平成十九年三月三十一日以前に取得されたもの(ニ及びホに掲げる減価償却資産にあつては、当該減価償却資産についての第百二十条第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に規定する改正前リース取引に係る契約が平成二十年三月三十一日までに締結されたもの)で、そのよるべき償却の方法として旧定額法、旧定率法、旧生産高比例法、旧国外リース期間定額法、第百二十条の三第一項(減価償却資産の特別な償却の方法)に規定する償却の方法又は第百二十一条の二第一項(リース賃貸資産の償却の方法の特例)に規定する旧リース期間定額法を採用しているもの 次に掲げる資産の区分に応じそれぞれ次に定める金額
 第六条第一号から第七号まで(減価償却資産の範囲)に掲げる減価償却資産(坑道並びにニ及びホに掲げる減価償却資産を除く。) その取得価額減価償却資産の償却費の額の計算の基礎となる取得価額をいい、第百三十条第九項(耐用年数の短縮)の規定の適用がある場合には同項の規定の適用がないものとした場合に減価償却資産の償却費の計算の基礎となる取得価額となる金額とする。以下この条及び次条第一項において同じ。)の百分の九十五に相当する金額
 第六条第九号に掲げる生物(ホに掲げる減価償却資産を除く。) その取得価額から当該生物に係る第百二十九条(減価償却資産の残存価額等)に規定する財務省令で定める残存価額を控除した金額に相当する金額
  居住者の有する前項第一号イ又はハに掲げる減価償却資産(そのよるべき償却の方法として同号に規定する償却の方法を採用しているものに限る。)の償却費としてその者のその年の前年分以前の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入された金額の累積額が当該減価償却資産の同号イ又はハに定める金額に達している場合には、当該減価償却資産については、第百三十一条から前条まで及び同項の規定にかかわらず、当該減価償却資産の取得価額から同号イ又はハに定める金額及び一円を控除した金額を五で除して計算した金額(当該計算した金額と当該減価償却資産の償却費としてその者のその年の前年分以前の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入された金額の累積額との合計額が当該減価償却資産の取得価額から一円を控除した金額を超える場合には、その超える部分の金額を控除した金額)をもつてその年分の償却費の額とする。
 
(中古資産の耐用年数等)
耐令第三条 個人において使用され、又は法人において事業の用に供された所得税法施行令第六条各号(減価償却資産の範囲)又は法人税法施行令十三条各号(減価償却資産の範囲)に掲げる資産(これらの資産のうち試掘権以外の鉱業権及び坑道を除く。以下この項において同じ。)の取得(法人税法第二条第十二号の八(定義)に規定する適格合併又は同条第十二号の十二に規定する適格分割型分割(以下この項において「適格分割型分割」という。)による同条第十一号に規定する被合併法人又は同条第十二号の二に規定する分割法人からの引継ぎ(以下この項において「適格合併等による引継ぎ」という。)を含む。)をしてこれを個人の業務又は法人の事業の用に供した場合における当該資産の耐用年数は、前二条の規定にかかわらず、次に掲げる年数によることができる。ただし、当該資産を個人の業務又は法人の事業の用に供するために当該資産について支出した所得税法施行令第百八十一条(資本的支出)又は法人税法施行令第百三十二条(資本的支出)に規定する金額が当該資産の取得価額(適格合併等による引継ぎの場合にあつては、同法第六十二条の二第一項(適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ)に規定する時又は適格分割型分割の直前の帳簿価額)の百分の五十に相当する金額を超える場合には、第二号に掲げる年数についてはこの限りでない。一 当該資産をその用に供した時以後の使用可能期間(個人が当該資産を取得した後直ちにこれをその業務の用に供しなかつた場合には、当該資産を取得した時から引き続き業務の用に供したものとして見込まれる当該取得の時以後の使用可能期間)の年数
二 次に掲げる資産(別表第一、別表第二、別表第五又は別表第六に掲げる減価償却資産であつて、前号の年数を見積もることが困難なものに限る。)の区分に応じそれぞれ次に定める年数(その年数が二年に満たないときは、これを二年とする。)
イ 法定耐用年数(第一条第一項(一般の減価償却資産の耐用年数)に規定する耐用年数をいう。以下この号において同じ。)の全部を経過した資産 当該資産の法定耐用年数の百分の二十に相当する年数
ロ 法定耐用年数の一部を経過した資産 当該資産の法定耐用年数から経過年数を控除した年数に、経過年数の百分の二十に相当する年数を加算した年数
 

相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて

確定申告相談会場

 

カワウソ

今日から確定申告相談会場に配置かー。くそだる。

 

先輩職員

くそだる。

 

相談者

今日から確定申告期間開始か!納税意識が高揚してきた!よし、相談にいこう!

こんにちはよろしくお願いします!実は昨年借りた土地にアパートを建てて賃貸経営を始めました。土地の賃借料を払ってるのでこれも経費にできますよね!

 

カワウソ

借りた土地って誰から借りたの。

 

相談者

父親の兄から借りています!無職独身、同居していて実質わたしが養ってます!

 

カワウソ

いくら。

 

相談者

え?

 

カワウソ

金はいくら払ってんの。

 

相談者

(この人ちょっと会話の仕方雑では?他の職員の方に代わって欲しいなあ。。)

えっと、一応親類なんでおまけしてもらって年間30万円です!

 

カワウソ

土地の場所と面積。

 

相談者

え?

 

カワウソ

借りてる土地の場所はどこ?その土地の面積はどんぐらい?権利金は払ってる?

 

相談者

えー、場所は東京都江戸川区、面積は250㎡くらいです。。権利金てなんですか?

 

カワウソ

経費っていうか贈与になるんじゃないですかねー。贈与税は担当違うんで最初から並び直してください。そんじゃ。

 

相談者

ちょっとあなた最初から対応雑すぎませんか!上司を出してください!

 

解説

事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例(所得税法56条)

不動産経営等に関係して生計を一にする親族に支払ったお金は、必要経費に算入されません。また、その場合お金を受け取った親族の所得にもなりません。

 

相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて(直資2-58

土地を借りて貸家を建てている場合、土地所有者に対して支払っている地代の金額によっては、土地の所有者から土地の借主に対して贈与があったものとして取り扱われます。

実際の地代=相当の地代の場合

借主に借地権が発生します。しかし、対価の支払いがあるので贈与はないものとして取り扱われます。

相当の地代>実際の地代>通常の地代の場合

借主に借地権が発生します。そして、借地権の価値に対して支払われる地代が安いので差額は土地所有者から借主へ贈与があったものとして取り扱われます。

なお、借地権設定による利益は、実際の地代が相当の地代に比べてどれだけ安いかによります。実際の地代が相当の地代に近ければ近いほど設定による利益は零に近づき、実際の地代が通常の地代に近ければ近いほど借地権設定による利益は借地権価額(自用地としての価額×借地権割合)に近づきます。

固定資産税>=実際の地代の場合

使用貸借とみなされ、借主に借地権は発生しません。したがって、贈与税の課税関係も発生しません。

相当の地代とは

・権利金の支払いなし(親族間取引等)
・土地全体の使用料
・相当の地代=自用地としての価額×6%

通常の地代とは

・権利金の支払いあり(第三者間取引)
・底地使用料(借地権は権利金で購入)
・通常の地代(年額)=自用地としての価額×(1-借地権割合)×6%